2010年4月1日 セトゥーチェアのローンチイベントのため来日をされたスタジオ7.5のバークハード・シュミット氏とカローラ・スウィック氏にエルゴキオスクがお話をお伺いしました。(ハーマンミラージャパン株式会社にて)

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──ハーマンミラー社と仕事をすることになった契機があれば教えてください。

バークハード:二人とも大学で同じ教授に学びました。その教授はハーマンミラー社のデザイン哲学に非常に共感していました。あるときハーマンミラー社のデザインコンペティションに参加の依頼があり私たちも参加することにしました。

──それはミラチェアのコンペティションですか?

バークハード:いえ、それはミラチェアではありませんでした。ヨーロッパの市場に向けたデスク製品のコンペティションでした。残念ながらそれが製品になることはありませんでした。

カローラ:そのコンペティションのコンセプトそのものがヨーロッパ市場に適していないと感じたため、そのことを伝えました。当然(笑)コンペに落ちました!でもその提案により、私たちに興味をもってもらうことができたようです。

バークハード:三年後だっけ?carola

カローラ:たぶん「パズル」のときのコンペよ。

──パズル?

バークハード:ハーマンミラーのオフィスデスクシステムです。それが私たちのハーマンミラー社におけるファーストプロダクトです。

──パズルの次がミラチェアですか。

バークハード:そうです。

──ミラチェアもコンペティションだったのですか?

バークハード:そうです。5社が参加したコンペでした。

カローラ:でもその時ちょっとルールを変えちゃったのよね(笑)

──ルールを変えた?

バークハード:コンペは「4週間で平面図を提出して下さい」というものでした。でもチェアのデザインに4週間の期間は短すぎますし、平面図ということにも納得ができませんでした。そこで2ヶ月の期間と立体での提案をお願いをして、そのように変えてもらいました。

──デザインチームとして4人のそれぞれの役割があれば、教えてください。

バークハード:基本的には4人それぞれプロジェクトの25%づつを分担をするようにしていますが、4人それぞれ違ったスキルを持っています。たとえば今日ここにいませんが、ローランドはエンジニアリング担当です。でも彼はとても色にこだわっています。とりつかれていると言ってもいいほどです!クラウディアはモデリングのスペシャリストです。セトゥー開発の際には関わる人々も多く、いろいろな情報が溢れていました。収拾がつかなくなりそうでした。そこでカローラがニュースレターを皆に送るようにして情報の共有を図りました。

カローラ:まさに戦場でした!(笑)

バークハード:チェアのデザインの場合には、大きい人から小さい人様々な体格の人が必要になるので、その意味では男女合わせて4人だと都合がいいんですよ(笑)

burkhard──セトゥーのキネマティックスパイン、またミラのトライフレックスのデザインはシンプルでありながら、それぞれの固有の機能と一体化されています。デザインと機能を融合させる際に、重要な点は?

バークハード:インテグレーション(統合)はデザイナーの仕事そのものだと思います。でも、どこからが機能でどこからがデザインという分け方はしていません。またデザインと機能が分離して見えないようにすることがデザイナーの仕事だと思います。
カローラ:デザインの過程で私たちはたくさんの習作をつくります。でも結果として出てくるものはチェアの場合であれば、しなやかに曲がりフレキシビリティがあるものです。それは自然界にすでに存在しているものです。

──セトゥーチェアをデザインする際のアイデアはスタジオ7.5から提案する部分が多かったのですか?

カローラ:ミラチェアの場合には、コンペティションでしたからハーマンミラー社からの事前説明があり、その後私たちからコンセプトを提案しました。セトゥーチェアの場合は、コンペティションではなかったので何も無い状態から出発しています。

バークハード:セトゥーチェアは、まだ私たちのアイデアの段階ですでにハーマンミラー社が私たちの頭の中にありました。こうした製品を技術的に実現化できるメーカーはハーマンミラー社だと思っていました。 ただやはりフリーな立場でラジカルに提案することができるのは、私たちがデザイナーだからだと思います。

──ドイツデザインというと日本では、バウハウスの流れをくむ機能性・合理性を重視したデザインが主流と考えてしまいます。スタジオ7.5のデザイン思想のルーツや影響を受けたものがあればお聞かせ下さい。

バークハード:バウハウスはたしかに重要です。私たち自身デザイン教育に携わっていますから。ただビュジュアルアーツの改革として語られていることには賛同できない部分もあります。

カローラ:過大評価されているところがあるわよね。

バークハード:むしろアンティークファニチャーなど、過去の偉大な工芸品を前にすると、私たちは巨人の肩の上にちょこんと乗った存在なのだと思い知らされます。

カローラ:職人の手による楽器なんかそうです。

──名前が残っていない職人たちの工芸品などもそうでしょうか?

バークハード&カローラ:そうです。

バークハード:時代の流れをくぐり抜けてきたシンプルなデザインには、これ以上そぎ落としのできない様な強さがあります。そうしたものからはいつもインスパイアされます。

──日本のユーザー向けてセトゥーチェアのこだわった点などを教えてください。

カローラ:快適性とはチョコレートみたいなものです!口に入れてみないと何もわかりません。ぜひ試して体験してみて下さい!。


インタビュー by Herman Miller ergokiosk

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Studio 7.5 がドイツのベルリンで設立した当時、設立メンバーのバークハード・シュミット、クラウディア・プリカット、ニコライ・ノイベルト、カローラ・スウィックは興味のあるプロジェクトに従事する自由を求めていました。これは規則、役割、役職による束縛からの自由を意味していました。(現在はニコライ・ノイベルが抜けローランド・スウィックが在籍)

以来、これが彼らの経営基本となっています。「ここに上司は存在しません」と、グループのメンバー全員が語ります。これは全員の言葉であると強調しながら、こう続けます。”グループの各メンバーがプロジェクトのすべてを担当します。こうしてアイディアを育て、心の解放させ好奇心を維持するのです。

クライアントの製品デザインをする際、Studio 7.5は迅速かつスマートに行動します。コンセプト段階からモデルショップまでの工程に、時には一両日で「製品」の大まかなひな型の制作を開始します。

まるで粘土の山と自由に遊ぶ子どものように、ひな型の制作は彼らのお気に入りの作業なのです。

彼らによると、「製品デザインを手掛けるには、三次元で作業することが必要です。」「そのため私たちは、凝った完成予想図の作成に時間をかけません。コンピュータで作成された図からは、同じフィーリング、感触、そして匂いが伝わりません。」

彼らは、オフィス・チェアのデザインが最もやりがいがあると感じています。「私たちは椅子の外観だけでなく、チルトの特徴までをも含む椅子の性能を定義します。私たちが椅子の性能をとても重視する理由は、美とは目で見るものだけでなく、からだで感じるものだからです。」